コンテナハウスの事例
オーストラリアの芸術家夫妻が建設した圧巻のコンテナハウス
海外のコンテナハウスを紹介
海外の素敵なコンテナハウスを紹介
オーストラリアの芸術家夫妻がコンテナハウスを建てることにした経緯
2011年、ミラー夫妻はブリスベンに土地付きの中古住宅を購入しましたが、同年に発生した大洪水で家は破壊されてしまいます。当初、夫妻は家を修復しようと努力しましたが、結局、家を新しく建て直すことに決めました。
家を建て直すにあたり、ミラー夫妻がコンテナハウスを選んだ理由は以下の 3 点です。
- 自分たちが理想とする家を手に入れるためには予算的にコンテナハウスしか選択肢がなかった。
- 建設にかかる期間が相対的に短かった。
- 環境に優しいから。
壮大な建設計画:コンテナを 31 台を使った 3 階建ての住居
コンテナハウスを建てるに際し、二人は以下のような計画を立てます。
- 床面積は 6,000 平方フィート(約569平方メートル)。
- 洪水対策を施す。
- 3 階建て。
- 1 階には車 2 台分の車庫、ジム、ホームオフィス、ビリヤードルーム、アートスタジオを設ける。
- 2 階には広大なリビングルームとキッチン、バスルーム、3 つのベッドルーム、そして書斎を設ける。
- 3 階には夫婦用の大きな寝室、ウォークインクローゼット、そしてテラスを設ける。
必要なコンテナは合計 31 台(1 階部分に 10 個、2 階部分に 11 個、3 階部分に 10 個)、総工費は 31 万米ドルという壮大な計画です。
土台建設から防水工事の完了までの工期は 8 週間
夫妻はまず中国からコンテナを輸入しました。新品コンテナが 1 台あたり 2,900 米ドルです。コンテナには 8 層のコーティングが施されており、溶接も丁寧に行われていました。
続いて、土台を建設するために古い家を撤去し、マイクロパイルを地中 9 メートルまで埋めた上で、グラウト用セメントでパイルを固定しました。このパイルの上にコンクリート製の台を固定し、さらにその上にコンテナを設置することになります。土台の建設には 1 カ月を費やしました。
土台が完成して間もなく、最初の 10 台のコンテナが現場に到着しました。コンテナをすべて土台の上に設置して溶接を終えるまでに 4 時間かかりました。4 時間で建物の 1 階部分が完成してしまったということです。その 2 週間後には 2 階部分の建設に使う 11 台のコンテナが到着し、1 階のコンテナの上に溶接しました。さらにその 2 週間後に最後のコンテナ 10 台が到着し、それらを溶接して 3 階部分を完成させます。
続いて、完成した構造物を家にするためにコンテナに開口部を設けました。その際、建物としての強度を保つため、ユニバーサル鋼製の支柱を使って開口部を補強します。暑い時期には遮熱ができるように、窓には着色された Low-E ガラスを使いました。最初のコンテナが現場に到着してから防水工事が完了するまでにかかった工期は 8 週間です。
芸術家としてのセンスが光る外装と内装
防水工事が完了した後、断熱材と内壁を設置しました。さらに 2 階と 3 階の外壁にはロックウール製の断熱材を設置し、木製のフレームも設置しました。
断熱材を設置したら壁にプラスターボードを設置し、さらにその上に着色したコンクリートを塗ります。それとは対照的に、天井はコンテナの質感をそのまま残すことにしました。
続いて行われた塗装では、家全体のカラースキームを統一するだけでなく、紫外線をブロックし熱を反射する塗装を使いました。その後、竹製の床材を家全体に敷き、キッチンやトイレなどを設置して完成です。
建設にかかった期間は 24 週間、総工費は 45 万米ドルです。当初の予定よりも費用がかかった理由は、建設の途中でデザインに変更を加えるとともに、当初の計画にはなかった設備(プールと追加のバスルーム)を追加したからです。
ミラー夫妻によると、このコンテナハウスはサイクロンにも耐えられるほど丈夫な造りになっています。また、洪水対策も万全で、クイーンズランド州の洪水多発地帯に適用される最新の建築基準もパスします。完成した 2013 年当時、この家はオーストラリアで最大のコンテナハウスでした。